1905年(明治38年)
夏目漱石の処女作。
大学教師だった夏目漱石が、気晴らしで俳句雑誌「ホトトギス」で発表した作品。
当初は1回のみの読み切り作品のつもりだったが、面白いと評判になり、その後も書き続けられ、全11回の連載作品となった。
「吾輩は猫である」をきっかけに、俳句雑誌「ホトトギス」は大きく売上を伸ばし、夏目漱石も人気作家となった。
中学の英語教師・狆野苦沙弥(ちんのくしゃみ)の家に住みついた猫の吾輩の視点から語られる小説。
「吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。」という書き出しは非常に有名。
猫の吾輩を主人公とし、人間の態度や発言に対し、時にユーモアに、時にシニカルに洞察する。
当時の知識人や文明社会をユーモアと風刺を込めて鋭く批判する姿勢には、夏目漱石の苦悩と哀愁がにじみ出ている。
読んでいると何度もクスッと笑ってしまう明治時代だけでなく、日本を代表する名作文学。