当時、資本家は労働者をどのくらい働かせていたのか?
これは1日の労働日という概念だが、「資本論」の中で次のように書いてある。
労働日とは丸1日24時間のことであるが、その中から休憩時間は控除される。なぜなら、それがなければ、労働力は新たなサービスを提供できなくなるからである。
要するに、休憩時間以外は労働者を常に働かせるということです。
「ドラキュラにように搾り取る」という言い方がありますが、このようにして資本家は労働者からその後も搾り取っていきました。
資本家は労働者を絶対的に働かせて、労働時間を長く伸ばすことによって「剰余価値」を得るということをやってきたのです。
こうしたやり方をマルクスは「絶対的剰余価値」と呼んでいます。
「絶対的剰余価値」とは労働者をできる限り長く働かせることで資本家が稼ぐ利益のこと。
ところが、19世紀後半、ヨーロッパの国々では「工場法」などによって1日の労働時間が制限されるようになりました。
このため、資本家はそれまでのように、「絶対的剰余価値」を得ることが難しくなっていきました。
1日の労働時間が制限され、労働時間を増やせなくなると、資本家は利益を増やすために次の手を打ちます。
それは、「剰余労働時間」が儲けになるのだから、「必要労働時間」を短くすればいいと考えたのです。
労働時間に制限ができると、資本家が利益を生み出す方法は変わります。
労働者の「必要労働時間」を短くすることによって、その分だけ自らの儲けを増やそうとしたのです。
このようにして得る利益を、マルクスは「相対的剰余価値」と呼びました。
では、資本家はどのようにして労働者の「必要労働時間」を短くしていったのでしょうか?